面接で教えていただいたこと
とても思い出深い面接がありました。
事務として面接に行ったところは少し特殊な業種で、普段より緊張していたことを覚えています。
面接をして下さった方々は男性ばかり四人ほど。
想定していた質問に受け答えをしていたとき、こんなことを聞かれました。
あなたの長所と短所は?
「あなたの長所と短所は?」まったく考えていなかった質問をされたことで驚いてしまい、それでもなんとか答えなければ、と心臓をばくばくさせながら必死で自分の長所を考えました。
「地道に、コツコツやる仕事は得意です。決して手を抜いたりしませんし、単純な作業も苦になりません」言ってしまってからはたしてこれは長所だろうか、と思ったのですがそれ以上自分のアピールポイントが出てきません。
どうしよう、では短所は、と考えた時、まさに今の状況だ!と思い至ったのです。
「短所は、想定外の出来事に弱いことです。思いもよらないことが起こるとパニックになってしまい、とっさの行動が出来ません」短所が挙げられたことはよかったのですが、これで言い終わってしまってはいけないのでは、と続けて口を開きました。
「ですので、パニックになってしまった時には、心の中でゆっくり数を数え、呼吸をしてから、人に聞けることは恥ずかしがらずに人に聞くようにしています。動揺したまま自分一人で解決しようとすると、失敗につながってしまいますので」
この言葉はひょっとすると自分で責任をとる能力が無いと思われてしまうかも、と考えはしたのですが、未熟なその時の自分の精一杯の対処法でした。
全部自分でやれます、と言い切れない自分をありのまま言葉にしたのです。
幸い、面接官の方々は目配せしながら大きく頷いて下さいました。
面接官の方に教えていただいたこと
「なるほど。一人で無理をせず、まわりを頼ることが出来るのですね。仕事はみんなでやるものですからね」と、思いがけずあたたかい言葉をいただけたことで、私は泣きそうになりました。
社会人として独り立ちをしても、人を頼ってはいけないということではないのだと教わった瞬間でした。
仕事とはみんなでやるもの、という当たり前で大切なことをお勤めする前に教えていただいたのです。
とても印象に残った面接でした。